データを読む リーグワン

リーグワン5期目、総動員数は過去最多を更新。しかし「1試合平均」は踊り場、下部リーグとの格差も拡大「8倍」の衝撃

リーグワン5期目、総動員数は過去最多を更新。しかし「1試合平均」は踊り場、下部リーグとの格差も拡大「8倍」の衝撃

2022年1月に開幕した国内最高峰「リーグワン」が、2025-26シーズンで5期目を終えた。プレーオフ決勝は6月7日、MUFGスタジアム(国立競技場)に5万451人を集め、コベルコ神戸スティーラーズが初優勝。この一戦の熱狂もあって、シーズン累計の観客動員数は132万2,343人と、開幕以来の最多記録を更新した。

数字だけを見れば、リーグワンは順調に右肩上がりを続けているように見える。だが、ダッシュボードのデータを1試合単位までブレークダウンすると、話はそう単純ではなかった。5期目という節目に、リーグワンの観客動員はどこまで伸び、どこで足踏みしているのか。LEAD RUGBY独自の観客数ダッシュボードのデータをもとに、徹底的に読み解く。

まず全体像から。

2025-26シーズンのリーグワンは、プレーオフ・入替戦を含めた累計観客動員数が132万2,343人に達した。前季2024-25シーズンの118万7,470人を11.4%上回り、開幕以来の最多記録を更新している。

ただし、この「歴代最多」の看板の裏には注意すべき点がある。試合数自体が増えていることだ。2025-26シーズンのレギュラーシーズン総試合数は223試合で、開幕直後の2022年(150試合開催)とは規模が違う。

DIV1は総観客数で最多更新も、「1試合平均」はW杯イヤーに届かず

トップディビジョンであるDIV1の観客数は、2025-26シーズンに合計961,247人(108試合)を記録し、これも歴代最多だ。しかし1試合平均で見ると8,900人にとどまり、ワールドカップイヤーだった2023-24シーズンの8,929人には0.3%届いていない。

シーズンDIV1平均観客数DIV1合計観客数試合数
20224,213人328,617人78試合
2022-235,744人551,417人96試合
2023-24(W杯年)8,929人(歴代平均最高)857,191人96試合
2024-257,908人854,079人108試合
2025-268,900人961,247人(歴代合計最高)108試合

さらに視野を広げて、DIV1・DIV2・DIV3すべてを込みにした全体の1試合平均を見てみよう。

2025-26シーズンのレギュラーシーズン全体(209試合)の平均観客数は5,639人。これは2023-24シーズン(W杯年)と比べて600人ほど少ない水準で、リーグ全体としては拡大基調の中の"踊り場"にあるとも言える数字だ。

一方DIV3は開幕来ワースト2。DIV1との格差は8倍に

トップディビジョンの足踏みよりも深刻なのが、下部リーグの数字だ。

シーズンDIV1平均DIV2平均DIV3平均
20224,213人1,670人847人
2022-235,744人1,739人1,437人
2023-24(W杯年)8,929人3,185人(歴代最高)1,456人(歴代最高)
2024-257,908人2,764人1,126人
2025-268,900人2,992人1,103人(歴代ワースト2)

DIV3の1試合平均観客数は1,103人(合計49,652人、45試合)で、これはダッシュボードが記録している中で歴代最低の水準だ。W杯イヤーの2023-24シーズン(1,456人)と比べると、24%以上も少ない。DIV2も2,992人とDIV1に次ぐ規模は保っているものの、こちらもW杯イヤーの3,185人には届いていない。

数字を並べると、DIV1とDIV3の間の開きは1試合平均で約8倍に達している。リーグワン発足時から「D1とD2・D3の格差」は指摘され続けてきたが、5期目を終えてもその溝は埋まるどころか、DIV3側は歴代ワースト2にまで落ち込んでしまった。

試合数増、話題の外国籍選手、「国立5万人死守」で押し上げ

リーグ全体の合計観客数が歴代最多を更新した要因は、大きく3つに整理できる。

1つ目は試合数そのものの増加だ。 DIV1の年間試合数は2022年の78試合から2025-26シーズンには108試合まで増えている。

2つ目は話題性のある外国籍選手・海外代表クラスの存在だ。リーグワンは、シーズンを追うごとに大物外国人選手の層が厚くなっている。南アフリカ代表のファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、同じく南ア代表のウイングであるチェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス)、世界最優秀選手に輝いたNO8アーディ・サヴェア(コベルコ神戸スティーラーズ)や、NZのトライゲッターWTBマーク・テレア(トヨタヴェルブリッツ)ら世界的スターが今季ずらりとプレーした。

3つ目はプレーオフでの押し上げと集客施策。 6月7日の決勝、コベルコ神戸スティーラーズ対クボタスピアーズ船橋・東京ベイの一戦は、国立競技場に5万451人を集めた。ここ数年プレーオフ、とくに決勝はここ数年5万人以上と高い数値で推移している。プレーオフは主管がリーグに移り、リーグ側が集客にかなり剛腕を振るっているように見える。今年の例で言えば、東京都民12000人を招待、決勝に100組200名招待…といった事例が見つかった。

東京都と手を組み、ダイナミックな施策を実施

認知の弱さ、客層も高年齢で固定化されてしまったか

DIV2・DIV3、平均が伸び悩む背景には、リーグが抱える構造的な壁がある。

まず、認知度・アクセス・中継露出の差だ。DIV1は知名度のある選手・チームが揃っており、スタジアムもアクセスが良い大箱がまだある。一方でDIV2・DIV3の試合は露出機会が乏しく、「そもそも今日どこかで試合があること」自体がファン以外には届いていない可能性が高い。また、地方のチームも多く、DIV3に参入したルリーロ福岡も集客に苦戦している。

また心配なのが客層の高年齢化だ。スタジアムに行くと明らかに他のプロスポーツの試合と比べて年齢層が高い。また、身近な熱心なリーグワン観戦者を思い浮かべても50~60代ばかりだ。

直接的な最新データの裏取りは限定的だが、ANA総合研究所が2026年4月に公表したレポート(廣岡信也主席研究員)は、リーグワンのファン層について「以前のラグビーブームを支えていた高齢の男性が占めている」「経済力があるため付加価値の高いチケットやファンイベントの完売率は高いが、ファン層の広がりには大きな課題を残している」と指摘している。同レポートは対照例として、Bリーグは「他の競技よりも若年層が多く女性の割合も適正」で、各チームがレベルの高いチアリーディングやエンタテインメント性の高い演出を用意していることを挙げている。

この構造は、競技人口という川上の問題ともつながっている。LEAD RUGBYが過去に報じた通り、高校ラグビーの競技人口(高体連加盟人数ベース)は2003年の30,419人から2022年には17,649人まで、20年で4割以上減少した。プレーする子どもの数が細れば、その保護者・同級生・地域コミュニティを含めた「将来の観客予備軍」も同時に細っていってしまうだろう。

来季(2026-27・W杯イヤー)が正念場

2026-27シーズンは再びワールドカップイヤーを迎える。過去の実績(2023-24シーズンにDIV1平均が歴代最高の8,929人を記録)を踏まえれば、日本代表への注目度が高まる中でリーグワンにも追い風が吹く可能性は十分にある。しかし、手放しに楽観できない材料も重なっている。

今季をもって、前出のファフ・デクラーク、チェスリン・コルビ、アーディー・サヴェアといったリーグを彩った大物外国人選手が日本を去る。加えて、2019年W杯の躍進を支えた元日本代表の流大、中村亮土といった「顔役」も引退を表明した。

さらに、来シーズンから導入される選手新規定によって、日本国籍を取得した海外出身選手の出場も制限されることが予想される。これは競技面でのバランス調整という側面がある一方、リーグの「顔」となってきた選手たちの出場機会に影響しうる制度変更でもあり、観客動員という観点からは追加の不確定要素だ。

ワールドカップイヤーの追い風と、スター選手・顔役の流出という逆風が同時に来る2026-27シーズンは、リーグワンにとって「一過性のブームで終わらせない」ための正念場になるだろう。

文:リードラグビー編集部


全チーム・全シーズンの詳細な観客数データ、DIV別・カード別の推移は下記ダッシュボードで随時更新中。

リーグワン観客数ダッシュボード →

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世界8強が見えてきた日本代表。そして各国のトップ選手が集まるリーグワン。今、日本ラグビーの“新時代”が始まろうとしています。そんな新時代を読み【READ】、読者を観戦に導く【LEAD】メディア。注目選手や試合レポートのほか、連載やインタビューも続々公開予定です。

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