リーグワンDIVISION1第4節、秩父宮ラグビー場で行われた東京サントリーサンゴリアスとクボタスピアーズ船橋・東京ベイの一戦は、26-26のドローに終わった。サンゴリアスは終了間際に逆転のチャンスを掴むも、キックを決めきれず、今季初勝利を逃した。
前半は両チーム、キックから出方を探っていたが、まずはタレント揃いのサンゴリアスのバックスがとってきた。2シーズン前のリーグトライ王・WTB尾崎晟也のブレイクから、SO高本幹也が先制トライ。南アフリカ代表WTBチェスリン・コルビも50mを独走、14-0とリードを広げた。
しかし、スピアーズも接点の強さを下支えに、ジリジリとゴールラインに忍び寄る。30分から、WTBハラトア・ヴァイレア、WTB木田晴斗、さらにLOデーヴィッド・ヴァンジーランドが3連続トライ、一気に逆転に成功し、前半を21-14とリードして折り返した。
後半も激しい攻防が続いた。54分にサンゴリアスのCTBイザヤ・プニヴァイがトライを挙げると、スピアーズもSOバーナード・フォーリーがトライを返した。
しかし、73分にスピアーズはキーマンを失う。高い身体能力を活かして、タックルやハイボールキャッチでも存在感を放っていた木田が危険なプレーの反則で退場に。スピアーズは、試合終了まで14人での戦いを強いられる。

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79分、サンゴリアスは敵陣22メートルラインでペナルティを得ると、ラインアウトからモールを形成。HO呉季依典が左隅にグラウンディングし、26-26の同点に追いついた。
ゴールキックを託されたのは高本。角度のある位置からのキックはポストを直撃、落ちてきたボールも真ん中のクロスバーに弾かれトライならず。もしクロスバーがなければ、もしボール一個分軌道が左であれば…。
しかし、その後もプレータイムが残されており、サンゴリアスが猛攻を仕掛けたが、スピアーズが意地のディフェンスでタッチの外に押し出し、試合終了となった。
試合後の記者会見で、スピアーズのフラン・ルディケHCは「14人の中で良いディフェンスができた」とコメントし、苦しい試合展開の中でも収穫を得た様子だった。また、この試合で25歳以下の選手を8人先発起用、「彼らが責任を持って判断ができるようになっていた。若手の成長が見られて嬉しい」と称賛した。

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一方、2試合連続の引き分け、これで開幕から4戦してまだ勝ち星がないサンゴリアスサイドは重たい雰囲気。今季から指揮をとる小野晃征HCは「勝つチャンスはあったが、取り切れなかった」と悔しさを滲ませた。堀越康介主将も「勝ちたい気持ちが強すぎてネガティブに働いた」と焦りを認めた。

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悔しいキック失敗となった高本も取材対応し、「切り替えるのは、なかなか難しいタイプですけど」としながら、「でもまだ長いシーズンの4試合目。今は苦しい時期だが、最後に絶対笑っていられるように努力していきたい」と前を向いた。
取材・文:竹林徹(リードラグビー)