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【大阪朝高】部員22人で花園優勝校撃破。リーグワンにもOB多数。何が彼らを強くする?文監督に聞く

2023年3月24日

【大阪朝高】部員22人で花園優勝校撃破。リーグワンにもOB多数。何が彼らを強くする?文監督に聞く

写真:本人提供

民族学校であり生徒数・部員数が限られる中でも安定した強さを誇る大阪朝鮮高校ラグビー部。過去20年間で花園ベスト4に3回、ベスト8に2回進出しています。今年1月に行われた大阪府の新人戦でも、2大会前の花園優勝校・東海大仰星を17-12でやぶるなど、インパクトを残しました。李承信(り・すんしん)を筆頭にリーグワンで活躍する選手も多数。

何がチームを、選手を強くするのか?現在チームを指揮する、文賢(むん・ひょん)監督にお話を聞きました。

他のチームにはない「使命感」と「危機感」

朝鮮学校を取り巻く状況は厳しい中で、選手たちはある種の使命感を持ってラグビーをしている。それこそがチームの強みだと文監督は語ります。

▲学校は1994年から全国大会出場資格を得た
写真:クリエイティブコモンズ

「全国の舞台で活躍することで、在日同胞そして日本の応援してくださる方に勇気や力を与えられる。そういった存在であり続けないという"使命感"が根強くあります。とくに3大会前に花園ベスト4に行ったときは、選手たち自身がそういったことを掲げて戦っていましたね」

現在の部員数は2学年合計でわずか22人。「ラグビー部がいずれなくなってしまうかもしれない」という現実的な"危機感"もあります。

「子どもたちに大阪朝高でラグビーがしたい、と憧れを持ってもらえるようにやらないと。自分たちが全国に出ることが次世代にもつながる。そのために頑張るしかない。自然とそういう思いでやっているなと感じます。人数が少ないからこそできる練習もありますし、全員のレベルをあげないとという意識にもなる」

大阪という地域柄、強豪校と切磋琢磨しあえる環境もプラスに。今は「日本の学校には負けない!」という激しいメンタリティは無く、合同練習などを通して交流を深めているそうです。

一発でしとめるタックルにこだわる

グラウンド上での強みは。選手一人ひとりの強いコンタクトを土台に、チームとして武器にするのがディフェンス。

「アタックよりもディフェンスから試合の流れをつくっていこう、というのは伝統としてある。そのために、出足早くしっかり一発でしとめるタックルにこだわり続けている。そこは監督が変わろうが変わらない部分」

▲仰星戦も「ディフェンスがハマった」という
週刊ひがしおおさかYouTubeより

フォワードのスクラムとモールも大阪朝高ラグビーの代名詞。加えて近年はバックス展開にも磨きがかかっているように見えます。

「ラグビーの進化に伴って、パスをしてしっかりチームとしてアタックできるように。ラグビー理解力・対応力をつけるように意識しています」

現役リーグワン選手座談会を開催?

平日の練習時間は2時間程度と、決して長くありません。何が特別なのか。

ひとつはトップレベルを知るOBの存在。千里馬クラブの選手や、現役のリーグワン選手がひんぱんに指導に来てくれるそうです。"座談会"がひらかれることも。

▲神戸コベルコスティーラーズに所属する李承信
写真:JRLO

「リーグワンには、今各ポジションに一人ぐらいOBがいます。スンシン(李承信:神戸コベルコスティーラーズ)やスリュン(金秀隆:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が来てくれたときは、生徒たちが質問して彼らが答える座談会のような場を設けたり。夏休み、春休み、冬休みは毎日誰かしら来てくれますね。その環境はすごくありがたい」


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外部コーチが気づかせた朝高の強み

他には専門知識を持つ外部コーチの存在。10年ほど前から、元日本代表の野澤武史氏がスポットコーチで入っています。文監督自身も指導者として今までにない感覚で刺激を受けているそうです。印象的だったのは「電話は絶対に取るべし」という教え。

「他校との練習試合は監督さんからの電話で決まることが多いんです。電話を一つ取れないだけで、練習試合が一つなくなってしまうかもしれない。だからかかってきた電話は絶対に取らないといけない。東海大仰星の湯浅監督なんかはめちゃくちゃ取るのが早いぞ、と言われました。自分もそこから授業の時以外はすぐ取れるようにしています」

また、コンタクトというチームの強みをあらためて気づかせ、伸ばしたのも野澤氏の存在が大きかったようです。

「野澤さんが来られたときは基本的に"痛い練習"をします。グラウンドは土なんですけど、そんなことは関係なく。そこ(コンタクトの部分)が強み。そこにこだわらなかったら、朝高じゃなくなると常におっしゃっていただいていて」

寮を開設し全国から選手が集まるように

ラグビー部のこれからについても聞きました。喫緊の課題と言える部員確保については、

「まず中級部との連携をさらに深めて、そのまま朝高ラグビー部に入ってもらえるようにしたいです。そのためにしっかり結果も出さないといけない。それと学校からサポートをいただいて4月から初めて寮ができるんです。これまでは地方の中学生を誘っても、実際に3年間安心して生活できるか、と保護者の方が考えると難しいケースがあった。そこを寮を有効活用して、チームとして30~35人程度確保できるように(全国的に)リクルートしていきたいです」

すでに春に入学予定の新1年生で13人ほど入部のめどが立っていて、その中には大分からやってくる生徒もいるとのことです。

大阪府予選を勝ち抜き、その先へ

現チームは、新人戦で東海大仰星に勝利したものの、その後の近畿大会では京都成章にやぶれ、25日からのセンバツ大会への出場は叶っていません。

「成章戦は一つのミスがすべてトライにつながってしまいました。これが全国レベルとの差かと。勝負の厳しさを知ることができました」

まず大阪府予選を勝ち抜くこと。そしてチームが見据えるのは、まだなし得ていない全国優勝。

「(東海大仰星に)新人戦だから勝てたと言われないように。まずは大阪府予選を勝ち抜いて全国に行くことを最低目標にしたい。そしてチームとして掲げている全国制覇ができるように、人間性を何より大事に育てていきたい。1.学校生活、2.ラグビー、3.勉強の3立を目指していく」

▲文監督が大事にするのはラグビーだけでない。学校生活・勉強との3立を目指す
写真:本人提供

取材・文:竹林徹(リードラグビー)

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