とにかく複雑なラグビーのルール。元日本代表であり現在はTV解説やYouTuberとして活躍する後藤翔太さんは「全てのルールを知っている選手はほぼいませんし、僕もいまだにわからないことがあります」と言います。覚えるべきは一つ一つの細かいルールではなく、大元の"原理原則"。この4つを知ればラグビー観戦がもっとシンプルに、そして楽しくなる!
※本記事は、YouTube『ラグビーのルールがわかるようになる! 「1つの思想」、「4つの原則」をお伝えします!!』(後藤翔太 Think of Rugby)より一部を抜粋編集したものです。
ラグビーのルールは後付けである
ラグビーのルールは複雑でわかりにくいと思っている方、多いですよね。
確かに複雑です。全てのルールを知っている選手はほぼいませんし、僕もいまだにわからないことがあります。そういう意味で皆さんと同じです。
そもそもラグビーのルールって、後付けなんです。車という乗り物が発明されてから道路交通法ができたように、ぐちゃぐちゃとした中で体をぶつけあうスポーツが生まれてからルールができたという順番です。
そして、ラグビーが進化してルールが変わり、ルールが変わってラグビーがまた進化する。これを繰り返していくうちに、ラグビーのルールがどんどん複雑化していったんですね。
大切なことは、そのルールの大元となる"原理原則"を知ることです。これがわかれば、ルールを一つ一つバラバラに覚えていく必要はなくなります。根本に「ラグビーをもっと楽しくしようぜ!」という思想があり、そこから派生して4つのルールの原則が生まれた、と捉えてみましょう。
原則①ボールより前でプレーしちゃダメ
まず、「ボールより前でプレーしちゃダメ」という原則です。
昔昔ラグビーは、一方の村が相手の村のある地点にボールを運んだら勝ち、という祭りだったんです。1回ボールを運ぶことができたら、今で言う1トライできたら、そこで終了です。
でも祭りがすぐ終わったらつまらないですよね?ということで簡単にボールを前に運べないように考えたのです。
そこで、「ボールを前に投げてはいけない」(スローフォワード)、「ボールより前でプレーしてはいけない」(オフサイド・オブストラクション」といったルールが生まれました。
攻撃を難しくするこれらのルールが、ラグビーの戦略性や知性を磨き、奥深さを出しているとも思います。
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原則②倒れてプレーしちゃダメ
次は、「倒れてプレーしちゃダメ」という原則です。ラグビーでは、一つのボールをめぐって多くの人間がぶつかり合います。その密集状態で、倒れたままのプレーを許すとボールが全然動かない。楽しくなくなってしまいます。
この原則の代表的ルールが、「倒れたらボールを離さなければいけない」(ノットリリースザボール)、「倒れたタックラーはボールの展開を妨げていけない」(ノットロールアウェイ)といったものです。
原則③ズルしちゃダメ
3つ目は、「ズルしちゃダメ」という原則です。やっぱり勝つためにはついついズルをしたくなってしまいます。相手より早く仕掛けたり、こっそり自分の方にボールを入れたり。ですが、そこは当然平等にしないとつまらなくなってしまいます。
「スクラムを組む時にレフリーのコール前に仕掛けてはいけない」(アーリーエンゲージ)、「ラインアウトで偏ってボールを入れてはいけない」(ノットストレート)というルールは、簡単に言うと「ズルすんなよ」ということなんです。
原則④超危険なことしちゃダメ
4つ目は、「超危険なことしちゃダメ」という原則です。まあ、ラグビーってぶつかり合ってるので、ほとんどの場面が危ないんです(笑)。
ただ重大な事故は起こらないように。また、あまりに危なすぎると観ている側としてもつまらないですし、誰もラグビーをやらなくなってしまいますよね。
この原則に該当するのが、「首より上にタックルしてはいけない」(ハイタックル)、「肩でタックルしてはいけない」(ショルダーチャージ)、「スクラムやモールをわざと崩してはいけない」(コラプシング)といったルールです。
いかがでしたか。「ラグビーをもっと楽しくしようぜ!」という思想と、これらの4原則を覚えていれば、笛が鳴った意味が理解できてラグビーをもっとスムーズに楽しんでいけるといただけると思いますよ。