目下花園2連覇中と、高校ラグビー界での躍進目覚ましい桐蔭学園。躍進を支えるのは、『日本ラグビーをリードする「名将」5選』でも取り上げた、藤原監督以下コーチ陣の先進的なマネジメント手法です。
今回『桐蔭学園ラグビー部 勝利のミーティング』から紹介するのは、最低目標と最高目標を作るという"ダブルゴール"という考え方。これがどんなときにもブレない桐蔭学園の強さを生み出していました。選手・リーダー・監督、そして中間管理職のビジネスマンまで…すべてのレイヤーで参考になる考え方です。
最低目標は10回やって10回できること
この最低目標と最高目標を作るという"ダブルゴール"の考え方は、桐蔭学園を指導するスポーツ心理学士の布施努氏がチームに取り入れました。
具体的には桐蔭学園ラグビー部の場合は、最高目標が「試合に勝つ」ことだとすれば、最低目標は「10回やって10回できること」に設定します。そしてこの最低目標が試合中に立ち返る場所になり、調子が悪い時でもこの最低目標を思い出すことで挽回ができます。
桐蔭学園はチームとして常に最低目標として「ボールを持ったら必ず前進する」という目標を共有しているように見えます。とくに苦戦している試合でよくわかります。キックなどを蹴らずにシンプルにボールを持ったら突進、前進。を繰り返しペースをつかんでいくのです。
ゴールは選手自身に作らせる
またこのダブルゴールですが、監督が与えるのではなく選手自身の頭で考えさせて設定させるそうです。
桐蔭学園の場合、トンチンカンな目標を設定すると、「それ"最低"じゃないだろ」「それますいんじゃないの」というツッコミが容赦なく入るそう(笑)。
自分の能力を客観視し、それを踏まえて自分の言葉で目標を設定するのはとてもレベルの高い作業だと思います。大事なのは「自分を知ること」だと布施氏は言います。
「目標設定に大事なのはまず自分を知ること。それには、自分の気持ちを言語化することが必要になります。そのために徹底してトレーニングを行いました。~中略~藤原監督をはじめスタッフの方々もそれを実践して、ファーストミーティングのときのように、自分の言葉で話させるトレーニングをしました」
『桐蔭学園ラグビー部 勝利のミーティング』より
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ダブルゴールはビジネスマンも応用できる
このダブルゴールの考え方は、ビジネスマンも学ぶべきものです。会社のプロジェクトでも、個人の目標でも、ついついテンションが上ってほぼ到達不可能な大きい数字を目標として出してしまいがちです。そして目標に届かずに終わると、あとは振り返ることなく終わり。打ち上げ花火失敗。後には何も残りません。
でも、達成可能な最低目標を定めてそこがクリアできれば最高目標には届かずとも、達成感も得られますし、試した手法の振り返りが効果的にできますよね。
桐蔭学園ラグビー部の指導は、社会に出ても通用する力を身につけさせる本質的なもので、素晴らしいと思います。