12月25日クリスマスに行われたリーグワンDIVSION1の第2節。静岡ブルーレヴズ(以下静岡)が昨季リーグ王者の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下埼玉)をホストスタジアム・ヤマハスタジアムで迎え撃ちました。
静岡はスクラムやモールといったFW戦で埼玉を苦しめましたが、ラスト5分の攻防で逆転を許し悔しい1点差の敗戦。
集客に力を入れる静岡【参考:【レヴズ】社長自らチケットをガンガン売る。事業化へ、本気の取り組み】、9443人と多くの観客が集まったこの試合。静岡のファンにホストゲーム初戦での勝利という”クリスマスプレゼント”を届けることはできませんでしたが、チームの強みを出し切った見ごたえある好ゲームでした。
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静岡のFWが奮闘し王者を苦しめた
トップリーグ時代から数え、30戦以上負けなしの王者埼玉に対し、昨季は不戦敗なども響き8位だった静岡が挑戦者という構図。しかし、昨年の対戦では25-26と1点差まで肉薄。この試合でも静岡のFW陣が奮闘し、埼玉を苦しめます。
スクラムでは、ファンが足を踏み鳴らす「スクラムノイズ」を背に、秋の日本代表メンバーであるPR稲垣啓太HO坂手淳史を相手に押し込む場面も。
ラインアウトでも、「いい場所に張っていた」(稲垣談)LO大戸裕矢を中心に、相手の動きを読みクリーンキャッチを防ぐ。攻めては前節から修正したというモールで2トライをあげるなど、チームの強みを出し切る展開に。

写真:JRLO
前半13分に静岡がモールで先制。NO8クワッガ・スミスのジャッカル⇒スクラムプッシュ⇒ラインアウトモールと、FWでチャンスを作り得点。
埼玉も静岡の粘り強いディフェンスに攻めあぐねながらも、前半27分にWTB竹山がトライ。その後PGも加え、8-7で埼玉が1点リードで前半終了。
後半に入って取り返したのは静岡。後半11分WTB矢富洋則の力強い走りからチャンスをつくり、再びモールからトライ。ゴールも決まって8-14。
埼玉は攻め込むも、スミスの猛タックルなど静岡の粘り強いディフェンスに得点できず。
勝敗を分けたラスト5分の選択と反則
スコア動かず、勝負はラスト5分の攻防へ。
矢富の50:22キックからゴール前でチャンスをつくった静岡が再びモールをプッシュ。耐えきれず埼玉が反則。ここでPGを決めれば、1トライ1ゴールで追いつけないセーフティーリードという局面。
ここで静岡はPGではなくラインアウトを選択。
あくまでFWでトライを取りきろうという姿勢。しかし直後のラインアウトで相手にボールを奪われ、さらに静岡WTBマロ・ツイタマが痛恨のシンビンで退場。
数的優位となった埼玉が反撃。途中出場で山沢拓也、クレイグ・ミラー、堀江翔太ら日本代表メンバーも入り、厚みのある連続攻撃を展開。最後は途中交代でSHに入った小山大輝がラックから飛び込みトライ。

写真:JRLO
ゴールも決まって15-14と埼玉逆転。残り数分も埼玉がボールをキープし、そのまま試合終了。
「決断をした選手たちを支持したい」
試合後の会見で、静岡の堀川隆延HCは最後のラインアウト選択も含めて、「(ラインアウトモールという)自分たちの武器を信じて、決断をした選手たちを支持したい。勝てなかった理由はひとつではない」と悔いは見せず。
局面の選択というよりは、「少しコンサバ(保守的)なところがあった」と語ったボールの動かし方に課題感を持っているようでした。
対する埼玉は日本代表選手を多くそろえ、リザーブメンバーも含め23人の層の厚さを感じました。埼玉の坂手淳史キャプテンは「後半出てきた選手たちがあの劣勢の中で6点差をひっくり返すようなプレーをした。目まぐるしく変わる状況の中で良い判断をしてくれた。これが我々の強み」と振り返りました。
リードラグビー選MOMはクワッガスミス

写真:JRLO
密集に身体をねじ込みボールを奪い取り爆走。ピンチを一瞬にしてチャンスに変えた静岡キャプテンのクワッガ・スミスを選出(公式MOMは埼玉の野口竜司)。
会見での本人コメントをまとめます。
「埼玉は強いチーム、このゲームはタフになると予想していた。いくつか誤った選択をしたり、ラインアウトでボールを取れなかったところもあったが、ブルーレヴズのスタイルをやり尽くした。誇りを持てた試合だった。選手だけでなくチーム全体のマネジメントも誇りに思っている。ホームゲームで沢山のサポーターの方の前でプレーできたのも嬉しかった。今日ここまで足を運んでもらい感謝している」
【取材こぼれメモ】
試合前には小柳ゆきさんが登場、歌で静岡のホスト開幕戦を盛り上げました。「あなたのキスを数えましょう」など名曲をたっぷり2曲披露。その美声に思わず聞き入ってしまいました。