高校ラグビー人口が20年で4割減というデータもある中で、ラグビー新時代をつくる未来の競技者を増やす一手が求められています。そこで注目したいのが、競技の魅力はそのままにタックルなどの接触プレーをなくした「タグラグビー」。学習指導要領に記載があり、全国小学校の62%以上で実施されたというデータも。
タグラグビーの全国小学校での実施率は62%
読者の方の中に、「タグラグビー学校でやったことあるよ」という方はどれぐらいいるでしょうか。編集部では「20年以上前に、小学校(東京都)で2~3回やったことがある」という経験者がいました。
タグラグビーは学習指導要領にも記載があります。
「(ボール運動の種目はバスケットボール、サッカー、バレーボール、ソフトボールを主として)、これらに替えてハンドボール,タグラグビー,フラッグフットボールなどア,イ及びウの型に応じたその他のボール運動を指導することもできるものとする」
「平成29年告示 小学校学習指導要領」
とあり、高学年でのボール運動の一環として選択されることがあるようです。
全体としてはどれぐらいの人数がタグラグビーに触れているのか。
日本協会に問い合わせたところ、2018年度に実施した調査で、全国の小学校での実施率は62%。2019年時点で6,616の小学校で 約76万9,000人の日本の児童がタグラグビーを体験している、とのことでした。
怪我のリスクなくラグビーの魅力に触れられる
タグラグビーでは、選手たちは腰にリボンのようなタグをつけてプレーします。そして、守備側はタックルの代わりに、ボールを持った選手のタグを抜けば良いだけ。抜かれた選手は止まってボールを離さなければいけません。
タグラグビーには、スクラムやモールという密集プレーもなく、激しい接触に伴う怪我のリスクがありません。「安全・安心」を求める風潮が強い、昨今の学校現場でも問題なく行えます。
どこに行くかわからないボールを全員で追いかけ、パスをつなぎ、トライの喜びを分かち合う――。そんなラグビーの魅力はそのまま。子どもたちの関係性も深まり、教師目線でもメリット大。率直に良いことづく目のように思います。
また、サッカーなどでは、経験者が一人いるとその生徒が"無双"してしまうケースもあると思いますが、全員未経験といえるタグラグビーならその心配もありません。先述の経験者は「女子が結構トライしていた記憶がある」ともコメントしていました。男女別け隔てなく楽しめそうです。
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日本協会もタグラグビーをプッシュしている
実際に日本協会もタグラグビーの普及活動に力を入れているようです。
具体的には、タグラグビーティーチャー研修、教員向けタグラグビー講習会、タグラグビーセットの貸し出しといった学校教育への導入をすすめているとのこと。過去2019年ワールドカップ日本大会に向けた取り組みの一貫として、「タグラグビーの普及啓発ガイドブック」も作成し、全国の小中学校へ配布しています。
協会公式サイト内に特設ページを開設、さらにSMBCらを協賛として「全国小学生タグラグビー大会」も主催していました。
タグラグビーから7人制・15人制の接触ありのラグビーにどう橋渡しをするか、という課題はありますが、未来の競技者を増やす一手としてさらに議論されるべきではないでしょうか。