20日に行われたリーグワン2022-23ファイナル。レギュラーシーズン1位で連覇を狙う埼玉パナソニックワイルドナイツに、同2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが初優勝をかけ挑む。新国立競技場に41,794人を集めた一戦は、ラグビー新時代を飾る好ゲームに。
立川の芸術的キック、DFも80分集中切れず
前半はスピアーズのSOバーナード・フォーリーが3つのペナルティゴールを決めて9-3とリードします。ワイルドナイツはらしくないミスキックを連発、リズムをなかなかつかめません。
後半に入るとワイルドナイツも反撃。58分にモールから途中出場のHO堀江翔太が抑え、さらに65分にもWTB長田智希がトライ。逆転に成功します。
しかしスピアーズは直後のプレイで、ハイパントをナイスキャッチして敵陣に侵入。バックス展開からCTB立川理道が「俺にくれというオーラを出していた」大外のWTB木田晴斗に芸術的なキックパス。17-15とすぐさまリードを奪い返します。
最後の10分。準決勝のサンゴリアス戦では14人の相手に対し、終盤スタミナ切れのような場面も見られたスピアーズでしたが、「80分間パフォーマンスをコントロールできた」(ルディケHC談)と語ったように、今日は切れることがありませんでした。
重量フォワードが規律正しくディフェンスラインを形成し、穴が開きません。外側のマークも厳しくワイルドナイツWTBマリカ・コロインベテがチャンスを作ろうとするも、パスがつながらず。スピアーズがボールをキープし続け、歓喜の初優勝となりました。
スピアーズからは感謝、感謝、感謝の言
試合終了後、スピアーズサイドは感謝の気持ちを口にしました。"オレンジアーミー"と呼ばれるファン、下部リーグ時代から支えてくれた会社、そしてわたしたちメディアに対しても。
これまで第一線でキャリアを積みながらも"日本一"の経験はなかった立川理道主将。天理大学時代は準優勝とあと一歩。大学卒業後、入団したクボタも下部リーグに沈み低迷していました。
「(下部リーグの)トップイースト時代にはここ(頂点)はイメージできていなかった。ただ、ルディケHCが来てから積み上げたものがあり、近年は手応えを感じていた。今日はトロフィーを喜びを感じながら掲げました」などとした上で、「支えてきてくれた人への恩返しができた」と語りました。
対するワイルドナイツの坂手主将は「良い準備はできていたが、ゲームの中で判断ミスがあった。少しインディヴィジュアルな(個人)プレーが多かった。もっとつながりつづけなければならなかった」と唇を噛みました。
【取材こぼれメモ】この日も目立っていたスピアーズの鮮やかなオレンジジャージーは新国立競技場の4階席からもはっきりと。他競技含めて珍しいカラーですが、チームの躍進とともに大人気、真似するチームがあらわれるかも?