「『裏切り者、嘘つき』という声があるが…」
ラグビー日本代表HC就任決定を受け、12月14日都内で開かれた記者会見でエディー・ジョーンズ氏は海外メディアから追及を受けた。
背景はこうだ。エディー氏は今年1月、”母国”であるオーストラリア代表HCに就任。2027年まで長期スパンでチームを導くことが期待されていたが、フランスワールドカップでは同国史上初の予選プール敗退という結果に終わり、大会後に職を辞していた。そして大会期間中に非公式に日本協会の面接を受けていたのではと噂され、抜け駆けのような姿勢に批判が集まっていたのだ。
この日、日本協会の岩渕健輔専務理事が明かしたところによれば、協会が選考の一部フローを委託した外部企業がエディー氏とコンタクトをとったのは事実だ。ただし、それは「情報収集」のためであり「面接」ではなかった、と岩渕専務理事は否定する。最初の面接は12月に入ってから、との説明だった。
先の海外メディアに対しエディーHCはこう答えた。
「一人一人の意見(気持ち)を私がコントロールすることはできません。起きてしまったことは、起きてしまったこと。裏切るつもりはなかったですが、そう捉えられることはコントロールできません。非常に残念なことですが」
「自分がコントロールできることに集中すべきです」"Control what you can control" これまで取材で話を聞いた際にも、印象深かったエディーHCの哲学である。
批判は受け止め、日本代表そして高校大学含めた日本ラグビーの全体の底上げへ。メディア報道をよそにエディーHCは前だけを向いているように見えた。
短い会見時間の中でも、日本人の特性をいかした"超速”ラグビーの実現、高校-大学-トップレベル一気通貫の強化システムの構築、テクノロジーを活用したレフリングの模索、など様々なアイデアが語られた。その具体についてはあらためて深掘ってみたい。
取材・文:竹林徹(リードラグビー)