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「思考と行動の戦略」書いた、元東大ラグビー部主将を直撃!目標達成のコツはポジティブ思考にアリ

「思考と行動の戦略」書いた、元東大ラグビー部主将を直撃!目標達成のコツはポジティブ思考にアリ

杉浦育実さん 写真:編集部


ラグビー関係者が書いた本は数少ないが、Amazonを眺めると面白そうなタイトルが目に止まった。昨年6月に刊行された『目的・目標を達成する「思考と行動の戦略」』。著者は元東大ラグビー主将の杉浦育実さん(26)。直撃取材し、本書出版に至る経緯や、その思考に迫った。


クラファン利用し、20代で書籍出版

「本を書くことは人生の目標の一つだったんです」と明かす杉浦さん。現在は旭化成でマーケティング職に就きながら、母校・東京大学ラグビー部でディレクターとしてチーム強化に携わっている。

もともと文章を書くことが好きで、社会人になってから自己研鑽のためにブログも書いていたという。これがあるクラウドファンディング業者の目に止まり、クラファンを利用して書籍の出版にチャレンジしないかと声がかかった。

「ぜひ、と。名前を出して出版するからには、思想もりもりで、自分の体験も紐づけて書いてやろうと思いました」

平日の仕事終わりや、休日の母校でのラグビー指導の合間をぬって、1年がかりで書き上げた。一般に書籍の執筆はかなりの労力がかかるが、杉浦さんにとっては苦はなかったそうだ。「自己満足でしたから」と言う。

自己満足。ネガティブに聞こえがちなこの言葉だが、杉浦さんはポジティブに使う。執筆も、ラグビー指導も、自分が納得できるからやったということだ。

また、本というアナログなフォーマットに取り組むことで得られたものも。

「本はYouTubeやブログと違って、体系的に一貫した内容を、かなりのボリュームで書かないといけないですよね。構成には時間をかけましたし、自分の思考や行動が整理できました」

クラファンでは、70人ほどの支持者から当初目標額の30万円を上回る50万円を集めた。Amazonのサービスを利用することで原価を抑え、支援金で制作費をまかなえたそうだ。

“逆算”と“ノルマ式勉強”で現役東大合格

そうして出来上がった本書は、本郷高校・東大ラグビー部でキャプテンをつとめた杉浦さんが、目標達成のための思考と行動をロジカルにまとめたもの。本書を読んでそのベースには強い“逆算思考”があると感じた。その点を聞いてみると、

「“逆算思考”は本の中のエッセンスの一つではありますね。幼少期から身近な人の死を体験したこともあって、終わりを強烈に意識して、今この時間は何のための時間なのかを考える。そうした考え方はずっと習慣になっていると思います」

一方でポジティブ思考も根っこにあった。

「ネガティブになってる時間ってもったいないと思うんですよね。自分の捉え方次第でいくらでも変えられるので」

親御さんの育て方もあったのかもしれない。怪我をして落ち込む杉浦少年に、「行きたくなかったら学校なんて休んでいいよ」というとてもとても寛容な母親と「怪我をした今だからこそ学べることがある」と声をかけ、ハッと気付きを与えてくれる父親に育てられた。

その思考が実を結んだ成功体験は東京大学への現役合格である。

出身の本郷高校は近年メキメキと進学実績をあげている進学校だが、「花園出場を目標にしていたので、勉強が後回しになってしまって…」当初は最難関大学の背中は遠かったよう。それが、ひょんなきっかけから、東大ラグビー部の練習に参加することになり、「ここでラグビーがしたい」「東京大学に入りたい」という目標が明確に生まれた。

そこからは逆算とノルマ式勉強法を実践した。

「東大は毎年の合格ラインと、出題傾向がだいたい固定されているんです。そうすると、この点数をとるためには、この大問を解けばいい、この大問を解くにはこの知識をつければいい、と分解していく。あとはやるべきことを毎月のノルマにしていったんです」

目標達成はポジティブ思考ありきで

ノルマと聞くと憂鬱になるが、安心したい。杉浦流は徹底的にハードルを下げるところから始まる。以下は読者も参考になる考え方だ。

「人間すごい弱い生き物なんで。最初のハードルが1番厳しいと思うんです。やり始めが難しい。だから最初はどんな些細なことでも自分を褒める。もうちょっとやりたいなぐらいのところで全然止めていい。あとサボっちゃったら、次の日に取り返せばいいだけですよ」

本書で「加点法マインド」と名付けられた心の持ちようも助けになる。できなかった減点ではなく、できた加点で自分を評価するポジティブ思考だ。これは受験生やビジネスマンにも、目標達成のために大いに応用できそうではないか。

さらに、自分がコントロールできることと、できないことを切り分けること。これは日本代表HCエディー・ジョーンズもかつて語っていた。

ラグビーの事例を出せば、ノットリリースザボールの反則をなかなか取ってくれないレフリーに当たった時。文句を言い続けても笛は変わらない。それなら、ラックを乗り越えてオーバーするプレーに切り替えればいい。この切り分けも、チーム・個人を問わず効く。

「もっと一人ひとりに向き合いたい」次なる野望

本書の第一読者は、杉浦さんが日々コーチとして接している学生や同年代のビジネスマン。「内容がすでに知っていることであったとしても、僕の言葉で納得してくれたり、少しでも新しい発見があれば。できれば文字面だけではなく、自分自身の状況に置き換えて読んでもらいたいです」と語る。

杉浦さん自身は、2022年の4月から2025年の12月まで本郷中学ラグビー部のコーチをつとめ、現在はディレクターという肩書で東大ラグビー部での指導に携わり2年目となる。ヘッドコーチは別に置き、自身は選手の中に入って一人ひとりに声をかけるスタイルを取っている。

「今まではグラウンドレベルでどうやるかを考えてきたんですけど、それだと自分の手から離れることがない。仕組みを作って、次のディレクターに譲っても同じようにできる形を作りたい」

チームの持続的な強化の仕組みづくりにも動いている。都内進学校の高校ラグビー部との合同練習を定期的に行い、未来の東大ラグビー部員との接点をつくる構想も頭にあるようだ。

また、「もっと一人ひとりに向き合いたいんです」とも語り、本書の内容をコーチング事業としてサービス展開したいという次なる目標も明かしてくれた。

取材・文:竹林徹(リードラグビー)

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