ラグビーワールドカップ2023がいよいよ9月8日に開幕する。日本代表は7月~8月で1勝5敗と苦戦(※正式なテストマッチではない、オールブラックスXV2連戦含む)したが、果たして本番ではどんな戦いを見せるだろうか。ラグビー元日本代表でキャプテンも務めた、廣瀬俊朗氏は新刊『ラグビー質的観戦入門』刊行記念トークショーで、現在の日本代表へのアドバイスや期待を語った。
バックスの意思統一に課題がある
廣瀬氏は直近の戦いを見て、スクラムが安定してきたフォワードを評価する一方、バックスの意思統一に課題があると見ているようだ。イタリア戦の終盤を振り返って、
「スクラムからのスペシャルプレーのチョイス、その後の中村亮土の(DFの裏を狙った)キック。ちょっと粗いですよね。中村亮土のキックも決め打ちぽかったですけど、外にスペースがありました。また、ウィングの選手がもっと声を出せればキックパスという選択肢もあったかもしれない」
イタリア戦ではゴールキックも決まらなかった。李承信と松田力也という二人の司令塔がキッカーを務めたが、6本蹴って成功はわずか2本だった。
「あれだけ外していたら勝てない。頑張ってもらいたい。五郎丸さんも試合後怒りのLINEを送ってきました(笑)」
姫野主将は「ちょっと背負っているのかな」
同じ代表主将経験者として、姫野和樹のパフォーマンスも気にかけていた。
「頑張っているけど、一選手だったときのインパクトがないんですよね。イタリア戦の序盤でタックルされて仰向けにされたのは、これまであまり見ないシーンでした。ちょっと背負っているのかな、と。もっと周りの選手がサポートできれば、彼もダイナミックにプレーできるようになるはず」
時間が限られている中で今求められてることは。
「(キャプテンが決まってからW杯まで1ヶ月足らず)今回はキャプテンとして、どういうことを考えているのかを伝える時間が短いと思います。ディスカッションしながら、チームのありたい姿をどこまで描けるか。みんなが本音で言い合えているのかも大事だと思います」
姫野主将にはキャプテンとしてチームを引っ張って欲しいし、一選手としても自分らしくプレーして欲しい。廣瀬氏から届いたエールに応えて、日本代表はワールドカップでどんな奇跡を起こすだろうか。