10月13日、世田谷区弦巻中学校で特別なラグビー体験会が実施された。参加したのは同校1年の生徒たちと、世田谷区をホストタウンとするリーグワンのリコーブラックラムズ東京、そしてブラックラムズとのスペシャルマッチのため来日していたオーストラリアのACTブランビーズの選手たちだ。
ブラックラムズにとってはリーグワンになってより求められる地域貢献の一貫であり、協定を結ぶ区のバックアップも受けて実施の運びとなった。
体験会では、まず選手たちがパス・キック・ラインアウトといったラグビーの基本プレーを実演。この日参加した生徒のほとんどがラグビーを見るのもやるのも初めて。スクリューパスに目を丸くし、空に吸い込まれるハイパントに歓声があがった。手を上げた生徒は実際にキックのキャッチやラインアウトのジャンパーにチャレンジ。野球部の生徒はフライキャッチと似ているのか、キック処理をほぼ完璧にこなしていた。
続いてのセッションでは、4人一組になってボールを落とさずに回していく練習を行った。選手たちも間に入って「ハンズアップアーリー。手を前もって構えておくんだ」とアドバイス。
締めは、スペースを広く使ってタッチフットのようなミニゲーム。生徒チームと選手チームの対戦も行われたが、恐れを知らぬ出足にブランビーズ軍団もタジタジに?女子チームも持ち前のチームワークで奮闘した。
体験会終了後には、チームから生徒たちにプレゼントも。トップ選手から日本の中学生へ優しさのパスがつながった。
「パスをつなぐために重要なことは何?」ブラックラムズスタッフからの投げかけに「…優しい気持ち」という答えが返ってきたのが印象的だった。これからの学校生活・社会生活も他者とパスをつなぐことの連続だ。テクノロジーが発達し変化の速い難しい時代を生きる。だからこそ小手先の技術や知識よりも、変わらぬ人間の思いやりがいきてくる。この日生徒たちがラグビーから学んだのは、この"優しさ"の価値かもしれない。