インタビュー リーグワン 革新者たち

【ブルーレヴズ】社長自らチケットをガンガン売る。事業化へ、本気の取り組み

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【ブルーレヴズ】社長自らチケットをガンガン売る。事業化へ、本気の取り組み

写真:静岡ブルーレヴズ㈱提供

「静岡ブルーレヴズ」はリーグワン参入にあたって「ヤマハ発動機ジュビロ」から名前を変え、他チームに先駆け事業会社を立ち上げています。トップリーグ時代からの変化も踏まえて、現在の取り組みを静岡ブルーレヴズ株式会社代表取締役社長・山谷拓志氏にお話を聞きました。印象に残ったのは「売る」ことへの本気度でした。

リクルーティングは最重要テーマのひとつ

編集部 素朴な疑問からになってしまいますが、レヴズになってプロ選手は増えたのでしょうか?

山谷 いえ、そこはあまり変わっていません。プロ選手の割合は全体の4割弱で、他のリーグワンのチームより低い数字かもしれません。社員選手はヤマハ発動機の様々な部門に配属され仕事をしながらプレーしています。

ーー雇用形態はヤマハ時代を受け継いでいるということですね。採用については何か独自の取り組みはされていますか?

山谷 選手のリクルーティングはクラブとしても最重要テーマのひとつとして取り組んでいます。プレーだけでなく、人間性も見極めながらですね。

具体的な取り組みとしては、「一生トライしよう。」という採用パンフレットを作りました。どういう選手が、どういう思いでこのクラブにいるのか。選手やスタッフのインタビューを中心に構成しています。また、noteにも選手リクルーティングに関するコラムを掲載し情報発信をしています。

▲現役選手やOB達の熱い想いや考えを余すことなく伝える2022年度リクルーティングブック(こちらからDLできます
画像:静岡ブルーレヴズ㈱提供

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サテライトチームやユースチームの枠組みを

山谷 また、リクルーティングと関連して「育成」をチームとしてやっていかなければいけないな、と危機感を持っています。

私が以前いたバスケットボールの世界では、クラブによる選手の育成についてはあまり必要性を感じていませんでした。なぜならバスケットボールは、高校や大学の裾野が広くてそこで活躍している選手を採用してくればよかった。しかしラグビーは学校や地域のチームが少ない。先日高校ラグビーで、(選手が揃わず)鳥取の県代表が予選を1試合も戦わずに決まってしまったというニュースもありました。残念ながら静岡もチーム数は少ない状況です。

ーー育成は具体的にどのように行うのでしょうか?

山谷 まだ構想段階ですが、試合に出場できない選手たちに対しては「サテライトチーム」(2軍)をつくって活動していく。またU18やU22のような「ユースチーム」の必要性も感じています。いまパートナシップを結んでいるフランスのクラブではそうした枠組みができています。

ーー「ユースチーム」は若い選手の受け皿にもなりそうですね。

社長自らガンガンチケットを売る

ーー次に集客への取り組みについて教えていただけますか。

山谷 トップリーグ時代は社員動員もありましたが、今は事業会社として自分たちでチケットを売って利益を上げなければなりません。見込み客のメールアドレスをデータベース化してアプローチする、ということをやるようになりました。来年のラグビーW杯後、確実に波が来ますから今年は初期投資の段階ではありますね。招待券なども必要に応じてお配りしています。

後は、ロータリークラブなど地域の会合などで講演も積極的に行っています。多い日には1日3回のときもあります。そこにチケット担当者も必ず連れていき、即売会をしています。

あとは夜の営業活動も精力的にやっていますよ。お客様になりそうな方の行きつけのお店は頭に入れていて、いつでもチケットが売れるように胸ポケットに決済端末を入れてるんです(笑)。

ーー社長自らというのは最強の営業ですね。

▲こちらはチームのトークショーでの一コマ 
写真:静岡ブルーレヴズ㈱提供

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五郎丸氏もチームの裏方で大活躍

ーーちなみに五郎丸さんもチケット販売業務を担当していると伺いました。

▲2021年に現役を引退した五郎丸氏はCROとしてチームを後方支援 
写真:静岡ブルーレヴズ㈱提供

山谷 はい。五郎丸くんはCRO(クラブリレーションズオフィサー)という肩書で、色々な役割があるのですがチケット販売含めたファンクラブ周りの実務もその一つです。

彼は本当に実務にしっかり取り組んでくれています。問い合わせ対応・イベントでの椅子運びといったことから、台本づくり・チケットの企画まできっちりやる。クリエイティブの細部へのこだわりもありますね。後は、やっぱり元フルバックらしくなんでしょうか…ちゃんと俯瞰して業務を捉えられているなと思います。

――ビジネスマンとしても優秀なのですね。五郎丸さんは将来経営者を目指しているそうですね。

山谷 そのステップとしても、実務で今はチームの売上に貢献してもらえればと思っています。決してお飾りではなくしっかり実務で力をつけて経営者になってほしいと思っています。

地域への還元、社会課題にも向き合っていく

――ほか、地域への還元というところではどうでしょう。リーグワンでは地域密着もポイントになると思います。

山谷 ヤマハ発動機時代から地域との結びつきは強く、その蓄積があります。そしてブルーレヴズでは、「オール静岡」を掲げ県内全域で活動しています。ただ公式戦ができるのが、ヤマハスタジアム(磐田市)、エコパスタジアム(袋井市)、IAIスタジアム日本平(静岡市)までです。その代わりに、合宿を県東部で実施しました。ほか、「キャラバン」という形でラグビーの普及活動も積極的に行っていきます。

もう一つ力を入れているのが社会課題の解決です。「SCRUM Action」というプロジェクトを立ち上げました。エコロジー・フード・ダイバーシティの3点を重点テーマに取り組んでいければと思っています。

▲チームの代名詞でもある「スクラム」で社会課題に挑む 
画像:静岡ブルーレヴズ㈱提供

――これからも先進的な取り組みに注目しています。ありがとうございました。

取材・文:竹林徹(リードラグビー)

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お話を聞いた人

写真:静岡ブルーレヴズ㈱提供

山谷 拓志(やまや たかし)/静岡ブルーレヴズ株式会社 代表取締役社長
1993年リクルートに入社し営業職や企画職に従事。アメリカンフットボールチーム「リクルートシーガルズ(当時)」の選手としても活躍し1996年度・98年度ライスボウル優勝。2000年に選手を引退し同チームのアシスタントGM兼コーチに就任、2002年度日本社会人選手権優勝。リンクアンドモチベーション・スポーツマネジメント事業部長を経て、2007年にB1リーグに所属する「宇都宮ブレックス」を創設。設立から3年目で田臥勇太選手を擁し日本一となり3期連続で黒字化を達成。日本トップリーグ連携機構による優秀GM表彰「トップリーグトロフィー」を2008年・09年と2年連続で受賞。日本バスケットボールリーグ専務理事を経て、2014年よりB1リーグに所属する「茨城ロボッツ」の社長に就任。経営を再建し2021年にB1リーグ昇格を果たす。2020年「スポーツビジネス大賞ライジングスター賞」を受賞。2021年6月から現職。2021年9月日本サッカー協会100周年功労表彰。スポーツマネジメント分野における専門家としても注目を集め「スポーツ経営論」 「スポーツによる地方創生」 「モチベーションマネジメント」などをテーマに講演・著書・寄稿など多数。元アメリカンフットボール学生日本代表選手。

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