いよいよ12月17日に2シーズン目が開幕する日本ラグビー最高峰「リーグワン」。昨シーズンに引き続き強力な外国人選手が集結している。今シーズンは、南アフリカ代表を筆頭に南半球出身の有力選手がズラリ。その注目の10人をピックアップした。
※日本代表の海外出身選手者は対象外
※キャップ数のデータはシーズン開幕時点のもの
本記事は2022-23シーズン開幕時点での記事です。2023-24シーズンで現在は在籍していない選手も含まれています。
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①ファフ・デクラーク(南アフリカ/横浜キヤノンイーグルス)
世界で五指に入るトップ・オブ・トップのスクラムハーフ。
2019年W杯で優勝した南アフリカ代表の9番であり、今季のイーグルスがこだわる「勝者のメンタリティ」を体現する存在だ。172センチながら身体が強く、タックルやジャッカルで攻守交代を起こす姿はまさに「9人目のFW」。
FW重視の南アフリカらしからぬ展開ラグビーで知られたライオンズ(南アフリカチーム)出身であり、日本の高速ラグビーとの相性も良い。開幕前の11月1日に結婚を公表した。
②ナニ・ラウマペ(NZ/コベルコ神戸スティーラーズ)
まさに命知らず。"本物のトップスピード"で突っ込んでいく弾丸ランナーだ。
正面衝突が繰り返される13人制ラグビーの出身であり、スキルが重宝されるニュージーランド代表でも異質ながら15キャップを重ねた。
加入したスティーラーズは、元NZ代表アシスタントコーチのウェイン・スミスがメンター。ヘッドコーチもNZ出身のニコラス・ホルテンであり、チームへのフィットは比較的容易だろう。ダイナボアーズのジャクソン・ヘモポは高校の同級生。リーグワンでも"衝突"が見られるか。
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③ルード・デヤハー(南アフリカ/埼玉パナソニックワイルドナイツ)
優しげな童顔だが、ピッチでは206センチの巨体で暴れる現役南アフリカ代表だ。
2022年の南半球4カ国対抗戦「ザ・ラグビー・チャンピオンシップ」では、エベン・エツベスとのロックコンビで6試合に先発。空中戦が主戦場だが、独走トライを取れるスピードまで備えており、ランニングラグビーでも存在感を発揮。
現役引退したワイルドナイツのチームレジェンド、ヒーナン ダニエルが抜けた穴を十二分に埋める存在だ。
歌が上手くラップもできるという。足のサイズは32センチ。
④ダミアン・デアレンデ(南アフリカ/埼玉パナソニックワイルドナイツ)
世界最高のセンターは誰か。その議論に必ず名前が挙がるであろう南アフリカ代表だ。
日本ではロックやナンバーエイトで起用されそうな190センチ105キロという規格外のサイズを持ち、長い手足、スピードとパワーの合わせ技で確実に前進する。2019年W杯の日本代表戦でも再三ゲインを繰り返した。
守備も超一流であり、堅守をチーム文化とするワイルドナイツにフィットするだろう。
南アではセクシーなスポーツ選手として有名。2015年からたびたびファッション誌の表紙を飾っている。
⑤ニック・フィップス(オーストラリア/NECグリーンロケッツ東葛)
祖父、叔父もオーストラリア代表を経験するサラブレッド。そして、自身の代表72キャップは伊達ではない。ゲームコントロール、パス精度、キック精度は当然ながら、スクラムハーフとしては大柄な180センチであり、FW並みの守備力を持つ。
トライに繋がるトリッキーなパスも得意としており、決定力不足に悩んだ昨季のグリーンロケッツでの"絶妙アシスト"に期待だ。
⑥マット・トゥームア(オーストラリア/三菱重工相模原ダイナボアーズ)
サモアとニュージーランドの血を引く、オーストラリア代表59キャップの世界的司令塔が日本初参戦。
代表は1年前(2021年)から遠ざかっているが、世界最高峰の司令塔の一人であることに変わりはない。スキル豊富な名キッカーだが、視野の広いアシスト名手でもある。
さらには強烈タックルを見舞う守備人でもあり、総合点が高い。
ライナーズに所属する、リハビリ中のクエイド・クーパーとの"豪州10番対決"は実現するか。
⑧パブロ・マテーラ(アルゼンチン/三重ホンダヒート)
2019年W杯のアルゼンチン代表キャプテンが驚きのリーグワン参戦。同国代表の敢闘精神を象徴する存在であり、密集戦でのファイト、ボールを奪うジャッカルが十八番。加速性能に優れておりボールキャリーも迫力満点だ。
昨シーズンはNZチームのクルセイダーズに初参加し、スーパーラグビー・パシフィックの優勝に貢献した。ディビジョン2所属のヒートで昇格のキーマンとなれるか。
試合前にはアルゼンチン音楽を聴いてマテ茶を飲むのがルーティン。
⑨アーロン・クルーデン(NZ/東京サントリーサンゴリアス) ※23-24シーズン在籍なし
2011年W杯でのニュージーランド代表優勝に貢献した大物スタンドオフ。昨季までスティーラーズに所属しており、開幕連敗スタートで迎えた第3節では"コンバージョン・チャージ"で失点を防ぎ、シーズン初勝利に大きく貢献した。
そんなクルーデンが超攻撃的な「アグレッシブ・アタッキングラグビー」のサンゴリアスでどんな指揮を見せるか。古巣スティーラーズとの対戦も見モノだ。19歳で罹患した精巣がんを克服したサバイバーでもある。
⑩タンゲレ・ナイヤラボロ(オーストラリア/NECグリーンロケッツ東葛) ※23-24シーズン在籍なし
ニュージーランド代表の伝説的ウイング、故ジョナ・ロムーは196センチ。かつてグリーンロケッツに在籍した元フィジー代表のネマニ・ナドロは195センチ。
そんな世界の「巨大ウイング」の系譜に名を連ねる195センチ130キロのフィニッシャーだ。2016年度にワイルドナイツに在籍しており日本リーグは6季ぶり。
この巨体で突進されたらゲインは必至。昨季のグリーンロケッツに足りなかった得点力を補完する"前進のスペシャリスト"だ。ニックネームは「Big T(ビッグ・ティー)」。
文:多羅正崇(スポーツライター)