今季のリーグワンで台風の目になっているのが、三菱重工相模原ダイナボアーズ。昨季DIVISION2の3位から昇格戦を勝ち抜いて這い上がってきたチームが開幕5節消化時点で3勝1敗1分、12チーム中5位につけています。
初戦でブラックラムズ東京に34-8と圧勝すると、トヨタヴェルブリッツ・東芝ブレイブルーパス東京といったトップリーグ時代に優勝経験のある2チームを撃破。王者・埼玉ワイルドナイツには敗れましたが、第5節の静岡ブルーレヴズ戦もラスト10分で猛追し引き分けに持ち込みました。
チームに現役の15人制日本代表選手はゼロ。オーストラリア代表59キャップのマット・トゥームアもコンディション不良かまだ一度も試合メンバーに登録されていません。そんなスター不在の中、なぜ勝てるのか?チームとしての強みを分析しました。
鍛え上げられたフィットネスとハードワークの姿勢
ダイナボアーズは過去5試合中3試合で、前半リードを許しながら後半追いつくという展開。
静岡ブルーレブズ戦も前半1点ビハインドで折り返し。8点差までリードを広げられながら、ラスト10分で足の止まった相手に対し、怒涛の攻めを見せ引き分けに持ち込みました。
キャプテンの岩村昂太は試合後に「プレシーズン、ボールゲームでフィットネスをつけてきた。そこが最後活きてきた」と語ったように、チームとしてフィットネスの強みを自認しています。
それを培った"ボールゲーム"とはタックルなしでボールをつなぐタッチフットのようなもの。特別な練習法ではないですが、その強度が「吐いたり、足を釣る選手もいる」ほどのものだそう。
また、グレン・ディレーニーHCがチームの強みとしてあげたキーワードが「ハードワーク」。
フィットネスを土台に全員が泥臭く体を当てていく。激しいモールディフェンスや攻撃の起点となる突進を見せるLOウォルト ・スティーンカンプや、低いタックルやスクラム戦で奮闘するPR川俣直樹らFW陣の姿勢が印象的です。
相手にジワリとプレッシャーを与える正確なキック
フィールドプレーでは、高いボックスキックをあげ敵陣に迫りタックルでつぶす。反則を得れば距離があってもPGを狙い3点をとりにいく。ダイナボアーズはキックでリズムをつかんでいくチームです。
ブルーレヴズ戦では、SOジェームス ・シルコックの左足が次々とボールをポスト内に蹴り込みました。40m近いPG含め最後のゴールキックを外したのを除けば8本中7本を成功。
ほか、この試合ではシルコックにキッカーを譲ったSO/FB石田一貴も力強く精度の高いキック技術を持っています。開幕節では後半出場ながら、5本のゴールキックを全て決め12得点の活躍を見せ、ブレイブルーパス戦でも後半の勝負どころでPG2本を決めて勝利に貢献。飛距離も出せるタイプです。
優秀なキッカーが複数枚いて、交代でどちらかが欠けてもバトンタッチできるのが大きな強みです。
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フィジカル強靭な海外出身選手を揃えるBK陣
また、起用として特徴的なのがBKに多くの海外出身選手を配置していること。キャプテンのSH岩村、WTB落合知之以外は先発メンバーは海外出身選手で占められ、押される格好で前述の石田もまだ一度も先発が叶っていません。
とくに7人制日本代表のSO/CTBヘンリー・ブラッキン、5年居住をクリアしているWTBタウモハパイ・ホネティ、日本国籍を取得しているFBアライアサ・空・ローランドらはカテゴリAの選手で、いわゆる外国人選手枠の制限を受けません。BK陣にフィジカルに勝る海外出身選手を多く配置できることは、とくにディフェンス面で効いているように思います。
さらにこのBK陣にトゥームアが入ってくるとさらに厚みが増します。
チームは次節、交流戦で強豪・東京サンゴリアスと激突。ふたたびの大物喰いなるか、注目です。