前回の【高校ラグビー人口20年で「4割減少」の衝撃。他競技との兼部やシーズン制が打ち手になるか】に引き続き、高校ラグビー人口を高体連のデータから紐解いていきます(本文で示している数字は令和4年度男子の人数・学校数)。今回は都道府県別に分析。県人口が少なくてもラグビー部員が多いのは?
人数は東京、学校数は大阪がトップに。全体人口のボリュームとほぼ比例する結果に
まず高校ラグビー人口が多い上位から見ていきましょう。
1位は東京の1,499人でわずかながら1,475人の2位大阪を上回りました。全国高校ラグビー大会「花園」では東京に2枠が、学校数ではトップの大阪に3枠が与えられています。学校数ベースでは78校の大阪が頭一つ抜けています。
花園決勝戦を戦った2校、東福岡の福岡は5位に、報徳学園の兵庫も8位につけています。王者のライバル校も県内でしのぎを削っている状況。
やや意外だったのが北海道。言うまでもなく北の大地で冬は激しい降雪があります。ラグビーには過酷な環境の中、10位につけていました。北海道は広大で移動の負担もあるため花園には2枠が与えられています。
ほかランクインは埼玉・神奈川・千葉・愛知・京都と全体人口が多い都道府県が高校ラグビー人口も多いという順当な結果に。
最下位は予選が成立しなかった鳥取。強豪の佐賀・島根も
次に下位を見ていきます。
最下位となってしまったのは直近の花園予選が部員不足のため1試合も行われないという事態になった鳥取でわずか43人。
46位香川、45位福井、44位山形、43位高知までは人数が100人を切っています。
また花園で佐賀工業がベスト8に入った佐賀が42位、石見智翠館がベスト16に入った島根も41位に。学校数はともに県内3校のみ。県全体としての地盤は弱いと言わざるを得ません。
40位の沖縄に注目。県全体の人口は全国25位ですがラグビーをする高校生は多くありません。ただ逆に沖縄は"伸びしろ"があるという見方もできます。全国で唯一人口の自然増を維持していてパイの縮小がない稀有な地域です。
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県人口が少なくてもラグビー部員が多いのは?長崎はじめ九州が存在感
次に「県人口の割にラグビー人口が多い」県も調べてみました。上のランキングは、県人口の全国順位から県高校ラグビー人口順位の値を引いた差分から求めたものです。
同率で1位となったのが長崎と大分。長崎は県人口が全国30位で高校ラグビー人口が全国11位で差分が+19、同様に大分は県人口が全国34位で高校ラグビー人口が全国15位で差分が+19という計算をしています。
とくに長崎は地盤の確かさを感じます。長崎北陽台・長崎南山・長崎北・海星など有力校が複数校あり他県からの越境入学も少ないようです。長崎北陽台は公立校ながら花園2大会連続ベスト8という結果も残しています。
トップ10の顔ぶれを見ると、長崎・大分のほかにも宮崎・鹿児島と九州が4県占めていました。もともとの県人口が多い福岡がここには入ってこないことも考えると、九州は高校ラグビーが盛んな地域と言えます。その文化やジュニア年代での取り組みなど、日本ラグビーの未来へのヒントがここに落ちているかもしれません。
定量的なデータ分析にとどまらず編集部でも追加取材をしていきます。