2026-27シーズンから導入されるリーグワンの新選手登録規定をめぐる争いが、開幕を前にようやく決着した。
リーグワンは8月28日、新設するカテゴリA-1の要件を一部見直し、帰化選手らを救済する特別措置を発表した。あわせて、制度の施行差し止めを求めて東京地裁で争っていた選手側との和解が成立したことも明らかにした。公正取引委員会への申告も取り下げられている。
中島イシレリ、具智元、ラファエレ・ティモシー、レメキ・ロマノラバら帰化選手27人による集団申告という異常事態から約4カ月。「現状方針変えず」から一転、最後の最後で軌道修正した形だ。
カテゴリA-1の枠に「日本国籍取得選手」が追加
新規定は、現行の「カテゴリA」を「A-1」「A-2」に二分するものだ。試合エントリー23人のうちA-1を14人以上、同時出場8人以上とし、A-2はB・Cと合わせてエントリー最大9人、同時出場最大7人に制限される。この枠組み自体は今回も変わっていない。
変わったのはA-1に入れる条件だ。

従来の3要件(義務教育9年のうち6年以上を日本で過ごした、本人・両親・祖父母のいずれかが日本出生、日本代表30キャップ以上)に、次の2つが追加された。
①トップリーグ時代からの規程に基づいてカテゴリA扱いされてきた選手
2021年11月30日以前に日本国籍取得選手として協会登録された選手や、特別永住権取得者、日本で義務教育を修了した選手、旧「アジア枠」該当選手がここに含まれる。
②現行制度でカテゴリA登録されている選手のうち、2025年5月31日までに日本国籍を取得した選手
同日までに取得を申請し、その後に帰化が認められた選手も対象になる。
つまり、日本国籍を取ってまでこの国でプレーしてきた選手たちは、これまで通り出場上限なしのままリーグワンの舞台に立てる。公取委に申告した帰化選手たちは、いずれもこの要件に該当するとみられる。見直しは申し立てた選手に限らず、要件を満たす全選手に適用され、リーグの説明では該当選手は30人強にのぼる見込みだ。
ただし、救済がすべての当事者に間に合ったわけではない。申告した選手の一人で「レイシストがルールを作ってしまっている」と怒りをぶちまけた中島イシレリは、和解成立を待たず8月10日に現役引退を表明している。
建付けは「トップリーグ時代からの継続性」
リーグが見直しの理由に挙げたのは、制度の継続性だ。
リーグワンは発足以来、代表資格を国籍ではなく所属協会で判断するワールドラグビーの「所属協会主義」を制度の原則としてきた。昨年5月の発表時点では、この原則に照らして、日本国籍の取得はA-1の要件に含めない設計だった。
しかし、前身のトップリーグでは、外国出身選手が上限なく出場するための要件として日本国籍の取得を明示していた。それを信じて帰化した選手から出場機会を奪うことになれば、リーグが自ら示した条件を後から反故にすることになる。リーグは「当時、上限なく出場するための要件として提示していた日本国籍の取得等を理由に、エントリー数および同時出場数に上限が課されてこなかった選手については、今回の制度変更後も引き続きカテゴリA-1として上限を課さないことが適切」と結論づけた。
7月30日には、ラファエレ・ティモシーが日本外国特派員協会で会見し、「来日時にこのようなルールになると知っていたら、恐らく違う決断をしていた」と訴えていた。サモア生まれのラファエレが日本国籍を取得したのは2017年。まさに「約束」を信じて帰化した一人だ。
28日の会見でリーグの東海林一専務理事は「今回、大きな制度変更にもかかわらず、直接的なコミュニケーションが不足していたことを大きく反省している。今後は選手・関係者の皆さまとよりコミュニケーションを密にして、ベターな仕組みをつくっていきたい」とコミュニケーション不全を認めた。
炎上の火種をつくったのは制度の中身そのもの以上に、当事者への説明を欠いたまま走り出したプロセスだった。リーグはその反省を明文化した。2026-27シーズン、新制度は予定通り施行される。この制度が掲げる、日本で育つ子どもたちの目標になるという理念が本物かどうかは、これからのリーグ運営が証明するしかない。
取材・文:竹林徹(リードラグビー)
