ワールドカップ、各国の行方に影響を与えそうな「レッドカード」の存在。前回大会でも過去最多の8枚が乱れ飛んだが、今回はその枚数を上回るだろうか。背景とともに解説。
フランスW杯、レッドカードは8枚以上出るか?
近年、世界的にレッドカードの枚数が増えてきている。北半球対抗のシックスネーションズでは、2021年に過去最多となる5枚のレッドカードが大会を通じて出され、2022年は2枚、2023年も3枚のレッドカードが出た。
日本代表も今夏のテストマッチで、リーチ・マイケルとピーター・ラブスカフニに相次いでレッドカードが出た。二人ともレッドカードは人生初だったという。
その日本とワールドカップ予選プールでぶつかるイングランドも、直近のテストマッチでオーウェン・ファレルとビリー・ブニポラにレッドカードが出て、ファレルは数試合の出場停止となり、日本戦も欠場する見込みだ。
本大会でも、レッドカードが多くなりそうだ。前回の日本大会でも8枚のレッドカードが出され、過去最高の数だったが、今回はそれをさらに上回るのではないか。
高いタックルに対する目線が厳しくなってきている
レッドカードに起因するプレーのほとんどが高いタックルだ。ラグビーの競技規則では「肩の線より上にタックルしてはならない」とあるが、首や頭部へのタックルに対するレフリーの判断がどんどん厳しくなっている。
相手選手が低くかがんで不可抗力的に首に手がかかってしまった場合でも厳しい判定になることがある。
今ワールドカップではまだ適用されていないが、高いタックルかどうかの線引きを「肩の線」ではなく、「胸骨」に下げるという試験的ガイドラインも、国際統括団体であるワールドラグビーから最近発表された。とにかく高いタックルはNGという強いメッセージを感じる。
これは、脳震盪や脳損傷など、頭部への衝撃が選手に与える悪影響が科学的に明らかになってきたためだ。ワールドラグビーは選手の健康と安全を最優先に考えており、危険なタックルを減らすためのさまざまな取り組みを行っている。
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カード1枚が勝敗に大きな影響を及ぼす
レッドカードがゲームに与える影響は大きい。先述の日本代表リーチが開始早々に退場となり、22対24で敗れたサモア戦後の記者会見で、ジェイミー・ジョセフHCは「1人減ると試合に勝つことは難しくなる」と語った。
途中でゲームに戻ってくる一時的退場「シンビン」と違って、残り時間を数的不利で攻守に穴が空いた状況で戦わなければならない。特に前半や同点の場合は、レッドカードが出たチームの勝率が大幅に下がることが統計的にも示されている。
ハイタックル「厳罰化」は今回のワールドカップで各国の明暗を分ける要素となることが予想される。