11月12日、ラグビー日本代表と対戦するイングランドを率いるのがエディー・ジョーンズ元日本代表HC。ジョーンズHCはこれまで3つの代表チームで指揮をとり(イングランド、日本、オーストラリア)テストマッチ通算で120勝以上をあげた実績を持ちます。
●各代表成績内訳
イングランド代表(2016-現在)58勝 19敗 1分
日本代表(2012-2015) 34勝 13敗 1分
オーストラリア代表(2001-2005) 33勝 23敗 1分
その名将のメンタル術とはどんなものでしょうか。著書『プレッシャーの力』に、メディア報道など周囲の雑音は気にせず、自分がコントロールできるものに最大限のエネルギーを費やすという哲学が記されています。
メディアの批判はプレッシャーにならない
ラグビーの母国・イングランドは日本と比べ物にならないほどメディアも厳しく、ジャーナリズムが発達しています。連敗が続けば、これまでいくら実績を残していても一気に解任論が噴出してしまうほど。
ヒステリック気味な記事を書かれることがある中、ジョーンズHCは「こういった記事は私にとって何のプレッシャーにもならない」と言います。
「なぜなら、メディアが何を書くか、それを読んだ人たちがどう思うかということは、私の力ではコントロールできないからだ。イングランド代表チームのヘッドコーチとして、私が自分の力でコントロールできることは、万全な準備を行い、チームを勝たせるよう注力するだけ」
「メディアやサポーターに何を言われるかを心配する時間があったら、いかにして次の試合に勝つかを考えていた方がいい」
『プレッシャーの力』P158より
軽い運動⇒メモ書きというルーティン
ただし、"チームを勝たせなければならない"という意識自体は自分の内側にあり、寝れない夜を過ごすこともあるです。
そういったプレッシャーにはどう対処しているのか。自分なりのルーティンを確立しているそうです。
「普段から可能な限りジョギングやジムトレーニングで汗を流す時間をとるようにしているが、緊張が高まる日の試合の朝は必ず軽い運動をするように意識している。そして朝の運動を終えると、選手たちに伝えるメッセージを考え、それをまとめたメモ書きをつくってチームに合流する」
『プレッシャーの力』P159より
「試合の日にヘッドコーチができることは、試合前とハーフタイムに選手にメッセージを伝えることと、選手交代の指示を出すことだけ。その数少ない自分が動く場面で的確な指示を与えるためには、いい精神状態でいることが必須になる。体を動かせば頭がクリアになるし、そういったいつものルーティンをすることによって、高まる緊張感とプレッシャーをいい形でコントロールすることができる」
名将のルーティンはいたってシンプルでした。運動やメモ書きなど、われわれも十分実践可能なメソッドで参考にできるのではないでしょうか。
他にも『プレッシャーの力』には、"プレッシャー"をキーワードに名将の指導論・そして人生論が余すことなく記されています。広く指導者・リーダー・ビジネスマンにオススメの1冊です。