1月7日に全国高校ラグビー大会「花園」、1月8日に全国大学選手権の決勝戦がそれぞれ行われました。高校は東福岡が、大学は帝京大が覇者に。両チームの圧倒的な強さはあらためてラグビーの原点「フィジカル」の重要性を示しました。
東福岡は接点で密集を破壊し報徳に継続許さず
高校の決勝戦はAシード校の対決。春の選抜、夏の7人制大会を制し、優勝候補筆頭とした報徳学園(兵庫)は東福岡(福岡)のパワーに封じられました。
報徳学園がボールを展開しても、その後の密集で東福岡がブルドーザーのような勢いで密集を破壊しターンオーバーという場面が何度も見られました。
結果報徳は攻撃をなかなか継続できず、あげたトライはNO8石橋チューカのキックチャージからの1トライのみ。高校日本代表候補を5枚揃える自慢のBK陣も見せ場をつくれませんでした。
衝撃だったのが、東福岡NO8藤井達哉のフィジカルです。後半23分に密集からボールを受けると報徳のダブルタックルを正面から弾き飛ばし、さらにカバーリングにくるタックラーも引きずる圧巻のトライ。準決勝の京都成章戦でも、肉弾戦を得意とする相手に対し似たような形でトライを奪っていました。
身長179cmと特別上背があるわけではありませんが、鍛え上げられた肉体でDFを強引に引きずっていく。東福岡の強さを象徴するような選手でした。東福岡は他にも、WTB上嶋友也がハットトリックを見せるなどし、41-10で6年ぶり7度目の花園制覇を遂げました。
帝京大学は11トライの猛攻で早稲田に記録的大勝
大学選手権決勝は対抗戦1位の帝京大学が対抗戦3位の早稲田大学の対戦。対抗戦では49-17で帝京が勝利、早稲田も選手権に入ってから調子を上げ好勝負が期待されましたが力の差は歴然としていました。
開始2分に帝京SO高本幹也が抜け出していきなり先制トライ。以降も帝京は平均体重108kgという超重量級FWがスクラムのプッシュや突破で早稲田を圧倒。11トライを重ねました。
最終スコアは73-20。大学選手権史上最高得点&点差で帝京大学が2年連続11回目の優勝となりました。
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どんなに良いスキルも強いフィジカルには勝てない
今回の高校と大学ラグビーの決勝戦が投げかけたのは、ラグビーの原点とも言えるフィジカルの重要性でしょう。どんなにスキルが優れていてもフィジカルで不利に立てば勝つことができない。報徳学園も早稲田もスキルフルなチームでしたが、フィジカル面で遅れをとった結果、ボールを奪われ、圧力から自分たちのミスも増えてしまったのです。
チームとしてのフィジカル強化の取り組みは
両校とも選手が入れ替わる学生スポーツという世界で例年フィジカルが強いチームを作り上げています。選手個々の属人的な強さのほかに、チームとしての取り組みがあるはずです。
東福岡に関してはメーカーとパートナーシップを結び「呼吸筋トレーニング」という手法も今年から取り入れているそうです。
また帝京大学も他校に先駆け、栄養士などをつけ体作りに注力していたチームです。部員も公式HPでのインタビューで、栄養管理の素晴らしさを口にしています。
「帝京大学ラグビー部は体づくりのための食事がすばらしいと感じます。専属の栄養士さんがいて、栄養バランスを考えて食事の提供をしてくださったり、栄養指導をしてくださいます」
帝京大学ラグビー部 【 1年生インタビュー 】辺純鍾
「――2人が感じる帝京大学ラグビー部のすごいところとは?
神田 とにかく施設がすごいです。スポーツ医科学センターのウォーターリカバリーの施設は特にすごいと感じました。
河村 僕は、ごはんがおいしいところを押したいです。
神田 おいしいし、メニューの種類も多い。栄養士さんが工夫してくださって、栄養指導もしてくださいます。
帝京大学ラグビー部【 1年生 対談 】河村ノエル・神田陸斗
「スポーツ医科学センター」は2011年に大学に設置された組織で、ラグビー部に限らず帝京大学運動部メンバーに「栄養」「メディカル」「サイエンス」など各分野の専門スタッフがサポートしています。
追加取材でも両校のフィジカルの秘密に迫っていきたいと思います。