リーグワンを観ていて、外国人選手の多さに違和感を感じるファンの方もいるかもしれない。試合出場メンバーを眺めていても、その過半数をカタカナ名の選手が占めている。外国人選手枠はどうなっているのだろうか、リーグの規定を確認していこう。
カテゴリB・Cが実質的な外国人選手枠で最大4人
リーグワンでは登録選手が「日本代表資格があるかないか」でカテゴリA~Cの3つのどれかに振り分けられている。
- カテゴリA 日本代表資格がある選手
- カテゴリB 日本代表資格が今はないが、今後獲得見込み
- カテゴリC 日本代表資格がなく、今後もその可能性はない
カテゴリAは日本代表資格がある選手の枠。純粋な日本人選手のほか、リーチ・マイケルのような帰化選手(NZ→日本)、ピーター・ラブスカフニ(南ア)のような日本代表資格を得た外国籍選手もここに入ってくる。
カテゴリBは日本代表資格が今はないが、今後獲得見込み選手の枠となる。他国でのフル代表歴がなく、リーグワンで初来日する外国人選手などが該当する。カテゴリBはジャスティン・サングスターなど、チームの屋台骨となるFWの選手が多い。
カテゴリCは日本代表資格がなく、今後もその可能性はない選手の枠。つまりすでに他国でフル代表資格がある外国選手が該当する。南アフリカ代表のファフ・デクラーク、チェスリン・コルビや、元オールブラックス代表のアーロン・スミス、ブロディ・レタリックといった海外スター選手が該当する。

カテゴリB・Cが実質的な外国人選手枠となっていて、あわせて最大4人まで試合に同時出場させることができる(ただし、カテゴリCは最大3人まで)。つまり「外国人枠は4人」という捉え方ができそうだ。
でもカタカナ選手が半数以上なのはなぜ?
ただ、実際に試合を見た読者の方は「外国人選手はもっと多いんじゃ?」と首をかしげるはずだ。
例として、2024-25シーズンの第17節 三重ホンダヒート対トヨタヴェルブリッツの先発メンバー15人をそれぞれ見ていこう。
三重ホンダヒート先発メンバー
- 鶴川 達彦 カテゴリA
- 肥田 晃季 カテゴリA
- マティウス・バッソン カテゴリA
- マーク・アボット カテゴリA
- フランコ・モスタート カテゴリC
- 小林 亮太 (C) カテゴリA
- トニー・ハント カテゴリA
- ツポウ テビタ カテゴリA
- 土永 雷 カテゴリA
- 呉 洸太 カテゴリA
- ラリー・スルンガ カテゴリA
- 岡野 喬吾 カテゴリA
- テビタ・リー カテゴリB
- 植村 陽彦 カテゴリA
- トム・バンクス カテゴリC
トヨタヴェルブリッツ先発メンバー
- 三浦 昌悟 カテゴリA
- 彦坂 圭克 カテゴリA
- 木津 悠輔 カテゴリA
- アドレ・スミス カテゴリB
- ジョシュ・ディクソン カテゴリB
- ウィリアム・トゥポウ カテゴリA
- 三木 皓正 カテゴリA
- 姫野 和樹 (C) カテゴリA
- アーロン・スミス カテゴリC
- 小村 真也 カテゴリA
- ヴィリアメ・ツイドラキ カテゴリA
- ニコラス・マクカラン カテゴリA
- シオサイア・フィフィタ カテゴリA
- ジョセフ・マヌ カテゴリB
- 高橋 汰地 カテゴリA
実際に両チームともカタカナ選手は15人中8人と過半数を超えている。これはカテゴリAにカタカナ選手が含まれているからだ。
なぜなのか? ラグビーは国籍主義ではないので、外国籍であっても、一定期間日本でプレーすれば当地での代表資格が得られ、リーグワンもその考え方に則っているのだ。
リーグワンでは、48ヶ月以上つまり4年以上日本でプレー経験があれば、カテゴリAの要件を満たす。両チームの選手を観ていくと、ホンダヒートの選手の場合は社会人から日本リーグで4年以上プレーし、カテゴリAとなっているカタカナ選手が多い。トヨタヴェルブリッツの場合は、大学や高校時代に留学生として日本にやってきて、カテゴリAとなっているカタカナ選手が多い。4年間ということは、大学1年時からプレーしていれば、卒業時にちょうどクリアしていることになる。
若手が育たない、親近感がわきにくい、という課題も
前身のトップリーグ時代から外国人選手枠は拡大している。カテゴリAの適用範囲が広くなり、カテゴリCの他国代表歴がある選手の出場枠も増えた。トップリーグ時代は2人まででしたが、リーグワンでは3人まで認められている。
ここで懸念されるのが若手の日本人選手になかなかチャンスが回ってこないこと。とくにスタンドオフなど要のポジションは実績のある外国人選手で埋まっていて、ここに大卒の日本人選手が喰い込むのはなかなか難しい状況になっている。
さらに、「外国人選手が多すぎて、親近感がわきにくい」という率直な声も聞かれる。
来シーズンから「カテゴリA」見直しの可能性も
まだリーグから正式発表はされていないが、来シーズンからカテゴリAの枠が見直されるという噂もある。
朝日新聞の報道によれば、カテゴリAが「カテゴリA1」と「カテゴリA2」に細分化されるというのだ。「カテゴリA1」はより縛りが厳しくなり、「義務教育9年間のうち6年以上日本滞在」あるいは「本人、または両親祖父母のうちの1人が日本生まれ」という条件がつくという。そしてこのカテゴリA1選手の出場が15人選手中8人以上求められるという。