各国から実力者が集う、リーグワンでひときわ大きなインパクトを残している選手が、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属するオペティ・ヘル。トンガ出身のプロップで、巨体を活かした豪快な突進でスタジアムを沸かせています。
来日2年目で、過去1年は出場機会に恵まれませんでしたが今季ブレイク。第13節、第14節と2試合連続トライをあげるなど絶好調。謎に包まれたプロフィールと日本代表入りの可能性を探っていきます。
ケタ違いの突進力、タックルも脅威
ヘルはプロップでありながら積極的にボールを持ちフィールドプレーで強みを発揮する選手です。
190cm127kgという巨体を活かした豪快な突進で、相手ディフェンスをなぎ倒していきます。第8節静岡ブルーレヴズ戦のハイライト。
またタックルも強烈。相手の胸の高さに肩を当てるスマッシュヒットを第14節コベルコ神戸戦で連発。ボールごともぎとるスーパープレーも。
トンガのラグビー一家に生まれる
今季ブレイクするまでほぼ無名の存在だったヘル。どんな経歴を歩んできたのでしょうか。「ナンバー」での取材記事をもとに情報をまとめます。
ヘルはトンガ出身。6人きょうだいの末っ子で、両親、いとこ、姉みんなラグビーをしていたそうです。ちなみに「ヘル」と言えば、同じチームに日本代表経験もある、ヘル・ウヴェがいますが直接の血縁関係はないそう。
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高校オーストラリア代表に選ばれた
ヘルは高校時代はオーストラリアで活躍。ニューイントンカレッジ時代は州代表、オーストラリア代表に選出されています。
高校時代の秘蔵映像も発見しました。ディフェンスを次々とふっとばしています。ラグビー強豪国オーストラリアでも、高校レベルでは彼を止められる選手はいなかったようです。
当然、オーストラリア代表「ワラビーズ」の道も期待されていたでしょう。しかしヘルはそこから突如表舞台から姿を消してしまいます。一体何が。
2年間のブランクの後日本へ
TVでのインタビューで明かされたところによると、ヘルは敬虔なクリスチャンで、所属していた教会(末日聖徒イエス・キリスト教会)の布教活動で海外に行っていたというのです。
ラグビーをしていない空白の期間が2年間もあったとか。トレーニングらしいトレーニングもできなかったようです。
「アフリカで炎天下を歩いたり、自転車をこいで丘を登ったり、それが運動に近かったかもしれません」
そう当時を振り返っています。
その布教活動を終えてトンガに戻ったヘルに、義兄で現在のチームメイトであるトゥパ・フィナウが声をかけクボタ入りが決まりました。
日本代表史上最強のプロップになれる
気になるのは、ヘルの日本代表入りの可能性。
本人の意向はどうなのでしょうか。2019年のワールドカップ、日本代表の活躍を目の当たりにし「日本ラグビーのイメージが変わった」と言います。その上で「(リーグで活躍して)日本代表にふさわしいと認めてもらいたい」と代表入りの意欲を示していました。
しかし、来日したのが2019年の9月で。代表資格の条件となる「60ヶ月の日本居住」を満たすのは5年後の2024年ということになり、残念ながら2023年のワールドカップには間に合わなさそうです。
ただヘルはまだ23歳。このまま日本代表入りし、成長を続けていけば日本代表史上最強のプロップとなる可能性を秘めています。言うまでもなく身体能力は抜群。ポジション的にも1番と3番両方こなすことができる器用な面も。
まだ未知数なスクラムとスタミナが安定してくれば怖いものなし。辛抱強く代表入りの日を待ちましょう。