ワールドカップフランス大会に臨む日本代表メンバー33選手の中から、各ポジション1人絞り込み。注目選手として15人ピックアップ、プレーの特徴や見どころをコンパクトにまとめた。
ポジションについては協会発表の登録ポジションを表記しているが、複数ポジションこなせる選手も多く、実際にプレーするポジションは流動的になりそうだ。
※キャップ数などのデータはワールドカップ開幕時点のもの
FW
①稲垣啓太(プロップ)
「笑わない男」としてお茶の間に広く知られる日本代表不動の1番プロップ。ワールドカップ3大会連続出場。
フォワード第1列とは思えぬ機動力で、サポートにタックルに走り回る。もちろんスクラムも頑健。
寡黙なイメージがあるが、実はメディアに対して「よくしゃべる男」だ。チームはどういった状況だったのか。何を考えていたのか。そもそもラグビーとは何なのか。自分の言葉で解像度高く語ってくれる。試合後のコメントも必聴。
②坂手淳史(フッカー)
リーダーシップに定評があるフッカー。高校・大学・リーグワン・日本代表と各ステージでキャプテンを務め、帝京大学と埼玉パナソニックワイルドナイツでは日本一を達成するなど結果を出した。ワールドカップ2大会連続出場。
世界的に見れば体格は大きくないが、低い姿勢でスクラムを安定させる。他の選手と連携をとってのディフェンスへの意識も高い。
コンディション不良で出遅れていたが、ワールドカップ開幕戦で先発メンバーに選ばれた。
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③具智元(プロップ)
韓国出身。2019年に日本国籍を取得し、以前から憧れのあった桜のジャージーに袖を通した。スクラムの命運握る3番プロップ。ワールドカップ2大会連続出場。
父も韓国代表の伝説的なプロップで、父譲りの強力スクラムが武器。2019年ワールドカップでは、世界最強と言われるアイルランドのフォワードを押し、雄叫びをあげた。
昨年はイングランド・フランス相手に押し込まれたが、苦い経験を経てマインド面は上向き。
④ワーナー・ディアンズ(ロック )
ニュージーランド出身。身長202cmはチーム最長身、21歳はチーム最年少。日本ラグビーの希望となるロック。ワールドカップ初出場。
長身かつ腕も長い。相手ラインアウトやキックに腕を伸ばし、プレッシャーを与える。昨年のニュージーランド"オールブラックス"戦では王国相手に見事なキックチャージを見せた。
怪我もあってか、ワールドカップメンバーの1次発表から名前が漏れたが、追加選出された。
⑤アマト・ファカタヴァ(ロック/フランカー)
トンガ出身。今夏のテストマッチで代表デビュー、2トライあげてチャンスを掴んだロック/フランカー。ワールドカップ初出場。
所属チームではフォワード第3列(フランカー、ナンバー8)でのプレーが多いが、日本代表ではロックでの起用が見込まれている。しかしそのスピードとしなやかなステップはバックス級。相手チームは面食らうはずだ。
「ビッグになりたいか。それともお家に帰るのか」トンガにはそんな言葉があるという。「家に帰るつもりはない」覚悟を持って大舞台に挑む。
⑥リーチ マイケル(フランカー)
ニュージーランド出身。長く日本代表フォワードの中核を担うフランカー。堀江と同じくワールドカップ4大会連続出場。
積極的に攻撃ラインに入り、体をぶつけて相手ディフェンスに食い込んでいく。リーチがボールを持つと、その期待感から「リーチ!」コールがスタジアムに響く。フランスでも聞かれるか。
直近のテストマッチでは、人生初というレッドカードをもらい2試合の出場停止となったが、ワールドカップ開幕戦には間に合った。
⑦福井翔大(フランカー)
今夏のサモア戦で初キャップを獲得した、今売り出し中のフランカー。大会中に24歳の誕生日を迎える。ワールドカップ初出場。
東福岡高校出身らしくフィジカルが充実し当たり負けしない。代表では、アタックよりもディフェンスで存在感を発揮しそうだ。直近のイタリア戦では接点でボールに絡みつき、攻撃の芽を見事に寸断していた。
特徴的なドレッドヘアーにも注目。
⑧姫野和樹(フランカー)
日本に唯一無二のエナジーを与えるフランカー。ワールドカップ2大会連続出場。今大会は「パッション」をキーワードにキャプテンとしてチームを引っ張る。
フィールドプレーでは、ボールを持てば相手をふっとばし前進、守っては剛腕でボールを奪い取る「ジャッカル」が圧巻。なお今大会での登録ポジションはフランカーのみとなっているが、ナンバー8での起用も多そうだ。
自分なりの習慣を確立していて、初の著書『姫野ノート』にそれをまとめた。
BK
⑨齋藤直人(スクラムハーフ)
日本代表の速いテンポのラグビーの起点となるスクラムハーフ。今大会がワールドカップ初出場。
身長165cmと小柄だが、その敏捷性で接点に誰よりも速くかけつけボールを次々にさばいていく。
またトライへの嗅覚も優れていて、サポートランから自ら得点をあげるシーンも多い。
『anan』で特集されるなど、女性ファンからも熱視線。
⑩李承信(スタンドオフ)
韓国籍。日本代表の正10番争いで松田力也を一歩リードしている司令塔。ワールドカップ初出場。
ファンタジスタタイプではないが、正確なキックや体を張ったタックルで勝利に貢献する。本人も「一番見てほしいのはゴールキック」と語る。
朝鮮学校出身者初の日本代表で、メディアからの注目度も高い。『情熱大陸』にも出演した。
⑪ジョネ・ナイカブラ(ウィング)
フィジー出身。今夏のテストマッチで代表デビュー、秘密兵器となるウィング。ワールドカップ初出場。
昨季のリーグワンでは、今代表メンバーの中では最多となる10トライをあげた。身長177cmとサイズはないが、弾丸のような走りで一気にインゴールを陥れる。当たりも強く、相手タックルを跳ね飛ばすシーンも。
観客をわかせるダイナミックなプレーに注目。
⑫長田智希(センター)
急成長を遂げている23歳のセンター。今年1月にリーグワン初出場を果たし、一気に日本代表初キャップ獲得、ワールドカップ出場まで駆け上がった。
決して大柄ではないが筋骨隆々で当たり負けしない。ディフェンスの穴を突く巧みなランでチャンスをつくっていく。ジョセフHCからの評価も高い選手。
日本協会のYouTubeでは1週間密着動画が公開。
⑬ディラン・ライリー(センター)
オーストラリア出身。昨年のテストマッチではMVP級の活躍を見せたセンター。ワールドカップ初出場。
ラン、パス、キック、ディフェンス…すべてのプレーの質が高い選手。昨年のフランス戦でもボールを持って確実にゲイン、ターンオーバーにつながるハードタックルを見せるなど獅子奮迅の働きだった。登録ポジションはセンターのみだが、ウィングでもプレーできる。
現役選手は、そのプレーの一つ一つを追いかければ学びが多いハズ。
⑭セミシ・マシレワ(ウィング)
フィジー出身。29歳で代表デビューし、31歳で大舞台に立つ遅咲き。ワールドカップ初出場。
ディフェンスには難があるが、相手を翻弄する独特のステップでトライを量産する。登録ポジションはウィングだが、フルバックでプレーすることもできる。サイズがありハイボールの処理も安定。
フィジアンらしく陽気で、トライ後にはノリノリの「エガちゃんポーズ」を披露する。フランスでも見られるか。
⑮松島幸太朗(フルバック)
「フェラーリ」の異名を持ち、日本が世界に誇るフィニッシャー。今大会の登録はフルバック。ワールドカップ3大会連続出場。
全身バネのような動きで確実にゲイン、一気にトライまで持っていくことができる。2019年ワールドカップでは、ロシア戦でハットトリックも達成。昨季のリーグワンでも90m近い独走トライを見せている。
今大会では、メンバー編成上ウィングではなく最後尾を守るフルバックでの起用が見込まれている。高いキックが飛んでくるが、そのキック処理がチームの明暗を分けそうだ。